システムエンジニア(SE)ってどんな職業?
現役システムエンジニアから話がききたい。
就活サイトや転職サイトに書いてある「システムエンジニアとは」、分かりづらいと思う方必見。
この記事では現役システムエンジニアが、その職種を簡潔に、正しく説明します。
- システムエンジニアの仕事内容
- システムエンジニアのキャリアパス
- システムエンジニアの年収
- システムエンジニアの本当に必要なスキル
- システムエンジニアにおすすめの資格
- IT業界最大手のシステムエンジニア
- システムの要件定義から運用、保守まで、一連の作業を経験
- 数億円超プロジェクトのプロジェクトマネジメントを経験
- 約70名の学生からOB訪問を受け、IT業界やシステムエンジニアについて説明実績あり
宜しくお願いします!
システムエンジニア(SE)ってどんな仕事?
システムエンジニアのお仕事は「システムを作ることを軸に、お客様の要望を叶えること」です。
仕事の流れとして、大きく7つのフェーズに分かれます。
システムエンジニアの仕事内容を「家づくり」に喩えて紹介
システムエンジニアの仕事の「7つのフェーズ」を「家づくり」に喩え説明します。
これでもわからないよ!という読者の方がいらっしゃればコメントいただければと思います。
「どんな住まいにしたいか」お客様の希望をヒアリングする。
- 敷地は何平米か。
- 予算はいくらか。
- 希望する工法はあるか。
- ペットを飼う予定、両親と一緒に暮らす予定はあるか。
お客様の希望をもとに、間取りや壁の色など、具体的な造りを決める。
- 2階にもトイレをつける。
- 3LDKの1室は和室にする。
- 庭は芝生にし、小さいスプリンクラーを3箇所につける。
ヒアリングした内容をもとに、実際に作る家の形を図面に起こす。
基礎工事から始まり、柱や壁などの骨格部分から組み立て、家を建築する。
家の内装・外装の仕上がりや、機能・使い勝手をお客様に確かめてもらう。
お客様へ引き渡し、住み始める。
定期的にメンテナンスし、最適な住まいに保つ。
よくある間違い:「大企業のシステムエンジニアは要件定義を担当」
要件定義(上流工程)が担当で、テストは関わらないんでしょ?
いいえ、「要件定義から試験まで、場合によっては運用や保守まで、
一連のフェーズ」を担当します。
システムを作る上で「どのようなシステムを作っていくのか練り上げるフェーズ」が最も重要です。
すべての作業に要件定義の内容が影響するため、たしかに重点的に取り組みます。
しかし「お客様の要件を実現し、最適な使い勝手になるまで見届ける」ことは
大企業のシステムエンジニアの責任です。
よくある間違い:「大企業のシステムエンジニアはマネジメントがお仕事」
マネジメントがお仕事で、実際に設計書書いたり、
プログラミングはしないんでしょ?
そうとは限りません。マネジメントしつつ、
設計書の作成やプログラミングを担当する者もいます。
この間違いを招いている理由は2つあります。
「大企業のシステムエンジニア」 = 「プロジェクトマネージャー(PM)」という誤解
プロジェクトマネージャーは、あくまでシステムエンジニアの職種の1つです。
詳しくは次章で説明します。
「マネジメントは決められたひとがやる」という誤解
作業の大小あれど、すべての人は「マネジメント」を実施しています。
例えば、
3月●日の15時までに資料を用意してくれないか?
承知しました。前日までに作成するので、レビューをお願いします。
レビューしてもらうために前日までに資料作成を終える
(= 自分自身の作業スケジュールをマネジメントする)、これも立派なマネジメントスキルです。
システムエンジニアのキャリアパス
システムエンジニアのキャリアパスは、大きく4つに分かれます。
①企画系
お客様の「こういうビジネスを展開したい」という
”あいまいなビジョン”を明確にすることが役目です。
ITコンサルタントやデータサイエンティストは、
「ITの専門家」としてお客様への提案が求められます。
その提案はシステム作りに限りません。
お客さまにとってシステムを作ることは「1つの手段」でしかないからです。
- ITコンサルタント
お客様の悩みを明確にし、次のアクションを決める手助けをする - データサイエンティスト
データを分析した結果から、次のアクションを決める手助けをする
②管理系
ITに特化した技術屋ではなく、
目的や目標達成までに発生する問題や課題を解決することが役目です。
システムを作り上げるまではプロジェクトマネージャーが、
使用し始めてからはITサービスマネージャーが担当します。
どちらも意識するのは、Quality(品質)・Cost(お金)・Delivery(納期)です。
- プロジェクトマネージャー
作りたいシステムの要望をヒアリングし、要望が叶うよう作り上げる - ITサービスマネージャー
システムが安定的に動作する(使用される)よう、継続的改善を実施する
③技術系(フロント)
フロント担当は、ユーザの目に見える箇所(画面や機能)の
設計〜テストまでを実施することが役目です。
- アプリケーションエンジニア
ユーザの目に見える箇所(画面や機能)の設計を担当する - プログラマー
製造を担当する - テスター
テストを担当する
④技術系(インフラ)
インフラ担当は、ユーザの目に触れない箇所(サーバーやネットワーク、データベースなど)の
設計〜テストまでを実施することが役目です。
多くの場合、システムを使用し始めてからのインフラ管理も実施します。
- インフラエンジニア
ユーザの目に触れない箇所の設計〜テストまでを総合的に担当する - データベースエンジニア
データベースの設計〜テストを担当する - ネットワークエンジニア
ネットワークの設計〜テストを担当する - セキュリティエンジニア
セキュリティの設計〜テストを担当する - クラウドエンジニア
クラウドサービスを扱ったシステムの設計〜テストを担当する
大注目の職種は「データサイエンティスト」「クラウドエンジニア」
2020年以降、AIやクラウドといった技術が注目されています。
システムエンジニアのニーズも「データサイエンティスト」や「クラウドエンジニア」へ変わっています。
筆者はプロジェクトマネージャーやITサービスマネージャーの道を進んでいますが、
2021年にクラウド関連の資格を取得し、自身の市場価値を高めています。
「AI」や「クラウド」の知識は、持っていて一切損しません!
システムエンジニアに必要なスキル
よくある間違い:「コミュニケーション能力」や「論理的思考」という回答
「コミュニケーション能力」や「論理的思考力」が不要なのではありません。
例を用いると、
システムエンジニアに必要なスキルって何だと思う?
「コミュニケーション能力」や「論理的思考」です!
システムエンジニアに「コミュニケーション能力」や「論理的思考」がなぜ必要だと思う?
それは…
つまり、「コミュニケーション能力や論理的思考が重要」という回答だと具体性に欠けます。
(筆者は約60名の学生からOB訪問を受けてきましたが、↑のやりとりは多いです。)
端的に言えば、以下のように言い換えることができます。
- コミュニケーション能力:お客様や上司、部下と円滑にやり取りする力
- 論理的思考:「問い」と「答え(=主張と根拠のセット)」を考える力
しかし考えてみてください。
コミュニケーション能力と論理的思考力は、全てのビジネスパーソンに重要だと思いませんか?
システムエンジニアに本当に必要なスキル 3選
「システムエンジニアとして活躍する」ために必要なスキルを3点挙げます。
- 先見性
- 構造化思考
- ステークホルダー・エンゲージメント
これらのスキルが何を指し、なぜシステムエンジニアに必要かは別記事で整理しました。
システムエンジニアの年収
大企業のシステムエンジニアの平均年収 727万円 は本当か?
総務省が出している大企業(従業員1000人以上)のシステムエンジニアの年収は、平均で約727万円です。
参考:令和2年賃金構造基本統計調査|e-stat
筆者の年齢である30歳〜34歳の平均年収は約676万円とのことですが、実際はもっと貰っています。
IT業界最大手の場合、平均年収は約782万円です。
※35歳の社員5名の情報をもとに算出。
年収アップする方法を伝授
「本業での年収アップ」×「副業での年収アップ」をおすすめします。
本業で年収アップするには
- 昇進
- 転職
昇進するには上司の評価が必要です。
良い評価を得るには
・資格の取得
・複数の役割を担当できる(※)こと
がアピールになります。
※ 例えば「ITコンサルタント×プロジェクトマネージャー」
しかし、どれだけアピールしても良い評価が得られるかは「運」次第です。
転職して一時的に年収アップしても、そのあと右肩上がりに年収アップするかはわかりません。
会社に雇用されている以上、年収アップできる度合いに限りがあるのです。
副業で年収アップするには
- ブログ
- 資産運用
- 動画編集
- プログラミング
上記で挙げた限りではありませんが、副業を始めることが年収アップの近道です。
副業は「自分磨き(=自己投資)」の1つです。
自分磨きはすぐに大きな成果は出ません。一歩一歩積み上げる忍耐が必要です。
私がおすすめする自分磨きは別記事でご紹介しています。よかったらご一読ください。
システムエンジニアに必要な資格(2022年版)
①学生・未経験社会人が持っていると有利な資格
応用情報技術者
ITの基礎知識を万遍なく試される試験です。
詳しくはコチラ。
AWS クラウドプラクティショナー
世界で最も使用されているクラウドサービス「AWS(Amazon Web Service)」の基礎知識が問われる試験です。
AWSだけでなくクラウドそのものを学ぶにもおすすめです。
詳しくはコチラ。
G検定
AIだけでなく、AIで使われている技術「ディープラーニング」の基礎知識から問われる試験です。
詳しくはコチラ。
②システムエンジニアが持っていると評価される資格
PMP(Project Management Professional)
プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを証明する国際資格です。
試験はPMIが策定したプロジェクトマネジメントの方法論「PMBOK」に基づいて実施され、
合格するとさまざまな国・業界で高い評価と信用を得られます。
筆者は2022年に取得しました。おすすめの参考書、勉強方法などは別記事でご紹介しています。
AWS ソリューション アーキテクト(アソシエイト)
AWSのサービスを使った「高可用性・高パフォーマンス・高コスト効率」な
アーキテクチャの設計方法が問われる民間資格です。
1 年以上の実務経験を持つ者を対象としていますが、筆者は1年未満の実務経験で合格しました。
筆者は2022年に取得しました。おすすめの参考書、勉強方法などは別記事でご紹介しています。
E資格
ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装できる能力を証明する民間資格です。
詳しくはコチラ。
情報処理安全確保支援士
サイバーセキュリティに関する専門知識を活用し、
安全なシステムの企画・設計・開発・運用の支援ができることが問われる国家資格です。
近年、最恐のコンピューターウィルス「エモテット」によるサイバーテロが頻発しています。
企業側は甚大な損失を被らないよう、事前にセキュリティ対策を施すのに必死です。
ITの高度化に伴い、セキュリティエンジニアのニーズは増していきます。
詳しくはコチラ。
ポイント:必須な資格はない
資格を持っていると事前知識があること自体は有利です。
しかし、実務での経験に優るものはありません。おすすめは以下の流れで進めることです。
実務で経験を積む → 必要な知識を学ぶ → 実績として形になる(アピールできる)資格を取得する
まとめ
システムエンジニアの仕事内容やキャリアパス、実際の年収やおすすめの資格まで幅広くご紹介しました。
必要なスキルも、いますぐに必要なのではなく、仕事をするなかで確立できるものです。
また、システムエンジニアは、幅広いキャリアパスがあり、時代のニーズも廃れない職種です。
少しでもシステムエンジニアに興味ある方は、チャレンジしてみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
コメント